「文明」の地域差

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銃・病原菌・鉄 (上)
銃・病原菌・鉄 (下)

この本は,スペインのピサロによるインカ帝国皇帝アタワルパ拘束の場面から始まる.
数百人のピサロに対し,数万人のインカ帝国.人数の上では圧倒的少数であったピサロが,なぜインカ皇帝を捕らえることができたのか.

おそらく欧州諸国の最初の絶頂の瞬間である.これは,彼らの尺度で言うところの
「文明」がインカ帝国より進んでいたことの現れである.では「文明」の進みは,なぜ地域によって大きな差があったのか.

従来は,「人種論」あるいは「民族論」で片付けられた.だが,この著者は,それ以外の原因が主要因であるとしたならば,何が原因なのか,という視点でこの問いに答えてゆく.

詳細は本書に譲るが,なかなか説得力のある内容である.少なくとも欧州と関わりの深い地域においては.アジアにおいては,少々余計なお世話な記述も散見されるが,大筋においては興味深い.

現代日本における地域的特性と照らし合わせて見ることも有意義ではなかろうか.

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