宇宙政策の話題

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JAXA法改正への懸念:法は末端から変わっていく(こともある)

3・11後の目で、宇宙とJAXAを見直す
からの話題。とはいえ、「続きはログインして」な記事なので、これらの記事がどういう指摘をしたいのかは正確なところは知らないが。
# 「続きはWebで」以上のいやらしさを感じる。

で、話題になっている法律は、独立行政法人宇宙航空研究開発機構法 (平成十四年十二月十三日法律第百六十一号)(以下JAXA法と呼称する)。要するにJAXAの設置根拠となっている法律である。これの改正だが、国会提出法案(内閣官房)の「内閣府設置法等の一部を改正する法律案」が該当する。新旧対照表参照のこと。実は、JAXA法のみならず、内閣府設置法、文部科学省設置法なども合わせて改正するものである。

これらから読み取れることは大きく2つ。まず、「文部科学省に置かれていた宇宙開発委員会が廃止され、内閣府に宇宙政策委員会が新設されること」。ただし、両者は同じ物ではない。所掌事務が異なる。というか、「宇宙政策委員会」が何をするものなのか、全く書かれていないに等しい、と読める。「宇宙開発委員会」は「JAXAの役員人事の同意」と、「宇宙開発の長期計画の議決」が仕事である、と明確に定められているが、内閣府設置法改正案第三十八条に書かれていることは、「・・・に関する重要事項」とだけあり、内容が見えない。それだけ裁量の範囲が広いということなのか、法律では書けないことなのか、そもそもあまり具体的イメージを持っていないのか。それはともかく、「宇宙政策委員会」は内閣府に設置されることから、宇宙政策が文科省の所管から、より幅広い立場から議論するものと位置づけが変わったということである。

次に指摘すべきは、JAXA法第四条、「平和の目的に限り」を「平宙基本法(平成二十年法律第四十三号)第二条の宇宙の平和的利用に関する基本理念にのっとり」と変わり、第二十四条では「主務大臣が必要な措置を求めることができる」場合を、「宇宙の開発及び利用に関する条約その他の国際約束を我が国が誠実に履行するため必要があると認めるときは」に「関係行政機関の要請を受けて、我が国の国際協力の推進若しくは国際的な平和及び安全の維持のため特に必要があると認めるとき又は緊急の必要があると認めるとき」が加わった点である。つまり、「安全保障に必要な施策も実行してもらいますよ。」と読むべきなのだろう。

全くもって、問題ないというか、さっさと改正してほしい位のものである。あとは、「誰が」「どんな予算で」実行するか、それだけである。

まあ、こんな法律改正が動いていたら、いろんなものが止まるのはやむを得ないか。

# この話題に直接関係ないが、3・11後の宇宙政策―昨日と同じ今日ではないに注文。「私たちが福島第一原発の事故で身にしみて学んだのは、科学技術を専門家だけに委ねてはならない、ということではなかったか。問題があれば、口に出したほうがよい。」といって勉強しない素人がじゃんじゃん口を出した結果、電力不足という事態を現出させたのではないか。口を出すのなら、最低限、関連する法・技術の正しい知識と、責任感を持つ必要があると思うのだが。
# そういった意味では、「大阪市は最悪」とだけ言っておく。

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