公式名称と通称

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政策パンフレット (自民党)


いわゆる「国防軍」創設に関すること,安全保障分野とあっちゃ,コメントせざるを得まい.

この手の「役所の名称」は,日本語の名称と,公式英語訳双方を見なければ,意味がない.

例えば,「アメリカ合衆国国務省」と訳される役所の英語公式名称は「United States Department of State」であり,直訳としては正しいが,任務は「外交関係に関すること」であり,むしろ「外務省」と訳した方が日本人にはわかりやすい.

その上で,現在の日本の国防機関に関する日本語名称と公式英語訳を見ていく.
「防衛省」 -> "Japan Ministory of Defence"
「自衛隊」 ->  "Japan Self-Defence Forces"
「陸上自衛隊(陸自)」 -> "Japan Ground Self-Defence Force(JGSDF)"
「海上自衛隊(海自)」 -> "Japan Maritime Self-Defence Force(JMSDF)"
「航空自衛隊(空自)」 -> "Japan Air Self-Defence Force(JASDF)"

比較のため,合衆国,英国,独国,中国の国防機関とその日本語訳を示す.
・合衆国
"United States Department of Defence" -> 「アメリカ国防総省」
"United States Armed Forces" -> 「アメリカ軍」
"United States Army" -> 「アメリカ陸軍」
"United Ststes Navy" -> 「アメリカ海軍」
"United States Air Force" -> 「アメリカ空軍」

・英国
"United Kingdom  Ministory of Defence" -> 「イギリス国防省」
"the Armed Forces of the Crown (British Armed Forces)" -> 「イギリス軍」
"British Army" -> 「イギリス陸軍」
"Royal Navy" -> 「イギリス海軍」
"Royal Ari Force" -> 「イギリス空軍」

・独国
"Bundesministerium der Verteidigung" -> 「ドイツ国防省」(Federal Ministry of Defence)
"Bundeswehr" -> 「ドイツ連邦軍」(German Armed Forces)
"Heer" -> 「ドイツ陸軍」(German Army)
"Marine" -> 「ドイツ海軍」(German Navy)
"Luftwaffe" -> 「ドイツ空軍」(German Air Force)

・中国
"中华人民共和国国防部" -> 「中華人民共和国国防部」
"中国人民解放军" -> 「中国人民解放軍」(People's Liberation Army)
"中国人民解放军陆军" -> 「中国人民解放軍陸軍」(People's Liberation Army Ground Force)
"中国人民解放军海军" -> 「中国人民解放軍海軍」(People's Liberation Army Navy)
"中国人民解放军空军" -> 「中国人民解放軍空軍」(People's Liberation Army Air Force)

さて,お気づきだろうか.
日本の防衛実力組織の「隊」に相当する"Force"は,諸外国機関では「軍」に訳される.
また,「国」に相当する"National"がなくとも,"Ministory of Defence"が「国防省」に訳される.
# 自論に有利な例ばかり引いていると疑念をお持ちの向きは,他国も調べてみてほしい.イスラエル軍(IDF)など.

なので,ことさら「国防軍」名称に目くじらを立てなくとも,現在の防衛省/自衛隊公式英語訳に対して他国同等機関と等しい日本語訳を行うだけで,素直に,「国防省」「自衛軍」となる.いまさら何を騒いでいるのか.むしろ,より重要なことは,国内的にも「自衛隊は軍である」とのコンセンサスを得ることだろうし,政権公約もその意図だろう.
# 個人的には,「日本国防軍」との名称よりは,シンプルに「日本軍」の方が好ましい.ついでに,護衛艦名称も漢字表記に!!!

さて,これも争点となりそうな総選挙,果たして有権者はどのような判断を下すのだろうか.

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