自称「アジアのバランサー」

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中国に立ち向かう日本、つき従う韓国 (Amazon.com)

東アジアの歴史とは,ユーラシアの長江・黄河流域を支配する勢力の栄枯盛衰と,それによる周辺への影響,ということになるであろう.

幕末-明治維新に限っても,アヘン戦争での清の敗北の余波,という見方である.(太平洋の対岸の国がちょっかいをだした,という影響は当然ある.)

明治以降,日本は,英米露清(+仏独)とのパワーゲームを戦っていた.1945年,結局ゲームに負けた日本は,そこから降り,米がソ(と中)との東アジアパワーゲームをプレイしていた.日本はともかく,米は明確に,マラッカ海峡-南シナ海-東シナ海-日本海の海洋通商路を自国の管理下に置くことが,ゲームの目的であると認識していたし,その目的のために様々な手段を用いた.

かつては,大陸の勢力も,それで満足していた.海上通商路に手を伸ばす余力が無かったからである.

いまや,米国にかつての圧倒的パワーは無いように見え,また,中国が世界第二位の経済力を持った今,この海上通商路を巡る争いが東アジアの課題となっている.

そうした中で,自称「アジアのバランサー」韓国がどういった考えをもち,どのようにこの状況に対応しようとしているのか,を主題としたのが本書である.
この中で述べられている「中韓連携」とそのバランスとして「北朝鮮-米(+日)」の連合が成立する可能性などは,(以前の私ならばあり得ないと思っただろうが)おもしろい指摘だと思うし,あり得ない話ではないと感じる.

いずれにせよ,長期的にみて米国は太平洋の対岸に帰っていく,帰らざるを得ないのではないだろうか.そうなったときに,どう大陸と向き合うのか,今から日本人一人一人が考えておくべきだろう.その点は,(あえてそうしたのだと思うが)著者は明確な主張をしていないが,「先に向き合わなければならない国(韓国)の選択をじっくり研究しながら,日本の対応を考えるべきだろう」という主張には同意する.そういった意味で,一読を勧める.


・・・が,それほど理性的・冷静な考慮が出来る人たちとも思えんし,防衛ラインを対馬海峡に引いて,日本は日本の道を行くしかない,というのが結論になりそうだが.どう考えても,「戦争やるやる詐欺」の南北対立にしか見えないし.

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