戦争にはファンタジーが必要?

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ザ・コールデスト・ウインター 朝鮮戦争

児島譲の朝鮮戦争あたりは読んだのだが,米国からみて朝鮮戦争とは何だったのか,という問題意識で書かれた本を読みたくて,買ってみた.

著者は,「暴虐なる大日本帝国から解放された朝鮮半島が,さらに共産主義者の侵略に晒されているので,南側の市民を守るための戦争」という見方なのだなと.いろいろ間違えている見方だと思う.あくまで太平洋の安全を確保する,そのための重要拠点である日本列島を守るための縦深(=朝鮮半島)を確保するための戦争,これが朝鮮戦争だ.さしたる資源がない朝鮮半島の,米国にとっての(そして日本にとっての)価値はそれだけ.

# 中国の介入が地続きの満州から行われたことによって,日本帝国が満州を確保しようとした意味も理解できると思うのだが.まあ,ご愁傷様ですな.

ただ,それだけでは戦えないのだろう.だから,「かわいそうな市民を助けに行く正義」を声高に叫ぶ.たとえ,それがファンタジーであったとしても.未だにそのプロパガンダに縛られているのは滑稽だが,自ら蒔いた種なので,最後まで面倒をみていただきたい.

# あと,「マッカーサーの戦争」という見方も出来る.「半島は空軍力だけで防衛できる」という彼の予断から南進が始まり,仁川上陸によって軍人としての最後の名声を得,「中国は介入しない」という予断から泥沼化し,彼が司令官から解任された後はさしたる大規模衝突もなくだらだらと休戦会談が行われ,休戦した(積極的に続けるという闘志を燃やす指揮官がいなくなった).

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